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講談社文庫版『箱の中』を読みました

今日のお題は、
これにするか、
それとも『おやじダイエット部の奇跡』にすっか、
ちと悩んだ。

でもまー、どー考えても、
このブログを読んでくださってる方が
ご興味あるのは前者だろう。

ってことで、そっちを選択したはいいが、
それについて書く前に、
腐人はHolly版の『箱の中』『檻の外』について
過去になんつったほざいておったっけかねぇ…と
このブログを検索してみた。

ら、あれ?該当なし??

なんかのついでに触れてることはあるのだが、
それ自体をとりあげてコメントするってのを
どうやらやっとらんらしい…。

あれー?そーだったっけ??

自分的には散々っぱら
やりまくった気がしとったんだが。
おかしいなぁ…(~_~;)。

ま、いっか。
またいずれやることもあろー。


さて。
このたび読んだ講談社文庫版『箱の中』

一般向けに変に手を入れられてたらやだなぁ…
とは、ここで散々ゆーてましたが、
その心配は杞憂におわり、
数字や用語など、ちょこちょことしたとこに
手が入ってるだけで、ほぼそのまま。

まぁ、もともと木原さんの描写は、
BLでちょくちょくみかける、
思わず噴出してしまうような比喩や、
ええかげんにせぇ!と言いたくなるよーな
ア行の発声練習とは無縁なんで、
これぐらいなら一般でもOKなんすかねー。

…ってか、腐人が一般基準をよくわかっちょりません。
いわゆるベストセラーとか賞モンよまねぇから。

この講談社文庫版…なげぇな、この名称…(ー_ー)
なんかもう面倒くなってきたんで、
以下、K版にさせてもらいます…は、
「箱の中」「脆弱な詐欺師」「檻の外」
の3編収録に、三浦しをんさんの解説となっちょります。

でも、もともとのHolly版(こちらも以下、H版)だと、
この3編の他に、
「それから、のちの…」「雨の日」「なつやすみ」
が収録され、
かつ、「すすきのはら」の小冊子があるんで、
このお話自体としては、
やっぱこれ全部を網羅してこそ、「箱と檻」
っちゅー気がするのだが、
K版は、なぜ、あえて、ここで切ったのか、
それをちと考えてみた。

ってのもですね、
「それから、のちの…」は、
探偵大江の話だからいいとしても、
「雨の日」「すすきのはら」は、
男同士の恋愛にスポットがあたってるから
一般の受けを考えて除外…?としても、
「なつやすみ」
これはね、収録されててもおかしかなかろう、
って気がするんだよー!

っつか、H版の『檻の外』のあとがきにあるよう
喜多川というキャラのことを考えた場合、
この「なつやすみ」があってはじめて完成する。

いや。
個人的には「雨の日」あれを受けて、
そのうえで「なつやすみ」があって、
それではじめて喜多川が
ホモサピエンスの雄という動物から、
「喜多川圭」という名前をもつ一個人になると思うんで!
やっぱこれ全部コンプリートしてこそ、よー(>0<)!!

…もうここらは、わかる人だけわかってください…。


ま、それはともかく。
なぜK版は、それを切ったのか。

一番の理由は、2冊刊行はできん…とかの、
大人の事情な気がするが、
…でも、これかなりの厚みだぞ?
キョウゴクナツヒコかと思ったもん…。

そうでない、とするならば、
この3編で区切った場合、
この箱と檻は、喜多川の物語じゃなくて、
堂野の物語になるような気がするんだよなー。
違うかな?

この辺は、もうそれこそ
H版を暗記するほど読んでしまった腐人ではなく、
今回、K版ではじめてこのお話に触れた方に
どう思われたか、聞いてみたいところだ。

ああ、もし腐人が、このK版で
初めて木原さんの世界に触れたとしたら、
どう思ったんだろなー…。

もしもボックスがあったら、
ぜひ、経験してみたい。


ま、そんな夢想はおいといて。

腐人は結局、K版だけでは己の暴走を停めることができず、
H版から小冊子まで渡り歩いてしまった…。
おかげで眠い…(=_=)

そう…この箱と檻を気軽に読みかえす気になれないのは、
手にとったが最後、
行き着くとこまで行き着かないと、
本が手から離せないっちゅー、
まるで「三つの願い」のソーセージの呪いがごときになるからだ。

これ、途中でやめられる人いてはったら、
ぜひ、腐人にその方法を伝授いただきたい。

その上、読み終わった後、
脳みそが言いたいことであふれて活性化しまくるんで、
眠れねぇ眠れねぇ…。

毎度、号泣するから、鼻はつまって息ぐるしいし、
目は腫れ上がって、土偶になるし。

なんちゅー本だ!まったく…
あの世でももだえられるように、
棺にいれてねリストに載せねばならんではないか!


ああ、またどーでもいい話に脱線しよる…(;一_一)


そういえば、
K版でもったいないなぁと思ってしまったのが、
しょうがないけど、挿絵ですね。

権利問題など、いろいろあるのかもしれないが、
昨今よく出る新装版で、
過去のが全部カットされたりしてるのをみると、
ファンとしては、
挿絵のもつ力ってもんを過小評価しすぎじゃないか!
と、言いたくなる。

大きいんですよ、挿絵の威力って。

H版には草間さかえさんの挿絵があるのだが、
これがもう、ものすごくいいのだ。

草間さんの硬質な線が、お話の雰囲気にぴったりで、
なかでも、K版にもある「脆弱な詐欺師」で、
喜多川が「神様」とつぶやくシーン。

あの1枚の絵が、
腐人の涙腺の決壊をひきおこすのよー(>0<)!!!

「檻の中」の穂花と喜多川の絵もね、
なんか、もし刑事さんがこれをみてたら、
違ってたろーなぁ…と思うぐらいで、
せめてこの2枚は入れて欲しかったなぁ…。


K版には収録されてない「なつやすみ」の挿絵も、
すごくいいのだ。
喜多川と尚が海で遊んでる絵。
あれ、すっごく好き~
みてるだけで、
こっちもぽやーんと口があいてくる。

切ないのは、通夜の後の、喪服の絵。
尚じゃないけど、笑わないでよ!って言いたくなる。
この場面は、何度読んでも号泣するなぁ…。


でも、実は、一番のごひいきは
H版『箱の中』のp217の挿絵だったりするんだよなー。
へへへへへ。

そう、この人について考え出すと、
あの「雨の日」の後、どうしたのかな、
この家に来たりしたのかなぁ…
と、すごくいろいろ気になる。

ご自身の葬儀はどうだったんだろう、
誰か、弔ってくれる人がいたんだろうか。


そんな感じにいろいろひっくるめると、
やっぱりH版を推したい腐人だが、
ま、もっと多くの人に読んで欲しいってことで
今回文庫化されたんでしょうから、
腐人のこだわりなんぞは、あんま意味ないのかなー。

ところで。
今回のK版でお得なところは、
やっぱり三浦しをんさんの解説でしょうね。

腐人は、『ダ・ヴィンチ』の選考会の記事も読んだが、
あのときは、ここまでご自身のご意見を出されてなかったので、
三浦さんが同じ作家としてどう思われたのか、
また一読者としてどう思われたのか、
腐人は興味があった。

今回の解説のほとんどが、そーだよねー!うんうん!
というところではあったのだが、
一つひっかかるところがあった。

さっきの「このK版は、堂野の物語?」
ってのにも関わってくるかもしれんのだが、
H版をコンプリートすると、
この物語は、どうしても喜多川の話な感じがし、
喜多川というキャラクターに目がいく。

一方の堂野の存在は、世の大勢ともいえる造形で、
また、満員電車で通勤しているリーマン諸氏にとっては、
いつ自分が同じ立場にならんとも限らんってとこでは
ものすごく自己投影がしやすい設定だろう。

人が生きる道の、普通と言われる枠の
ど真ん中を歩んできた者が、
急にこんな環境に放り込まれれば、
自分とて堂野のように追い詰められ、
精神的にあやうくなるかもしれないと、
まるで自分事のように思って読まれるかもしれない。

そこらをひっくるめて、三浦さんは堂野のことを
「真面目で常識的な
 (「小市民的な」と言ってもいいかもしれない)男」
と評する。

ま、確かにね、大きく言えばそうだろう。

でも、それだけじゃない気がするんだよねー、腐人は。

ってのもね、
「誰もが堂野のように、
 喜多川すなわち殺人者と接することができるのか?」
ってとこで、
腐人は、堂野の特異さを感じるのだ。

ゆっちゃぁなんだがね、
世の中の多くの人が、
はみ出し者に、異端者に、冷酷だ。

一度貼られたレッテルは一生ついてまわり、
色眼鏡で見られ続ける。
その結果、更生がなかなか進まず、
また犯罪を繰り返してしまう…
という悪循環を生み出している。

現実の事件として、
いくつも思い当たることがあるでしょ?

そういう人を支えようと思っていても、
何度も何度も世間からの拒絶や裏切りにあうと、
くじけてしまうのが普通だ。

だから人は、できるだけ関わらないようにする。
それが一番多い。

でも、堂野は喜多川に、
他の人間に対するのと同じように接した。

このフラットさ。
これってね、腐人はすごいことだと思うんだよね。

だって、たぶん、腐人はできん。


木原音瀬さんの作品に
『薔薇色の人生』というのがある。
この『箱の中』にでてきた
柿崎から生まれてきたお話なのだが、
薬物で何度も捕まった男、モモが、
ロンちゃんと出会い、変わっていく話で、
腐人はこれもとても好き。

って、それはどーでもいいんだ。

じゃなくて、このロンちゃんや堂野をみてると、
ホントすげぇなって思うんだよねー。

犯罪者とはちょっと違うかもしれんが、
破綻した家で育った人などは、
ひたすら愛を乞い、執着する人になることがある。

でもって、こういう人ほど、
いわゆる「普通の家庭」で育った人を切望する。

その飢餓感、依存度、執着心といったものは、
半端じゃなく重く、
最初は受け入れようとした人でも
投げ出してしまうことが多い。

なんとなーく周囲見渡せば
幾人か思い当たることあるっしょ?

それみてさ、
「なんで別れないの?」
とか
「別れてよかったよ」
とかいった覚えありません?

腐人は結構ある。
冷たい人間なんで。

そんくらい、
ロンちゃんとか堂野の位置って、
誰でもできるもんじゃないと
腐人は思うんだよなー。


三浦さんは木原さんの作品は、
いわゆる「うっとり」じゃないと書いておられたが、
腐人なんかにしてみたら、
ある意味、これが「うっとり」なのだ。

自分が堂野やロンちゃんの位置に
なれるかったら、なれない。
いいとこ、できるだけ偏見をもたずに接するよう
心がけるぐらいしかできず、
深く踏み込むなんて、到底無理。

でも、自分の中のどこかで、
その自分に対して忸怩たる思いがある。

…そう…木原さんって、
そういう隠しておきたい自分を、
「ほら、そーでしょ?」
と、いとも簡単に目の前につきつけてくるのだ。

あの出所日の堂野なんか、
すごく、わかるんだよー(>_<)

でも、その先で、腐人ができなかったことを
彼らはやってくれ、
どこか計算が働いてしまう現実の恋愛ではなく、
人と人とが、心から愛するということはどういうことか
読者にみせてくれるのだ。

腐人はそれに毎回うっとりさせられている。

純愛、なんつーと、昨今では安売りされてるような気がして
あんまり使いたくないんだが、
木原さんの作品には、
本当に、純粋な愛が書かれてると思うんだよなー。

できれば、このK版の『箱の中』を糸口に、
これまでBLというものを知らなかった方に、
純愛あふれる木原作品を堪能してもらえるといいなぁ。


あ、そうだ。
K版で、もう一個ラッキーと思ったことがあった。

それは種本の紹介。

木原さんの作品は、ものすごくリアリティがあって、
物語世界の土台がしっかり築かれているってのが
一つ特長にある。

なので、前からどういうものを種本にされてるのか
すごく興味があったんだが、
それが書いてあったのだ。

へー…これかぁ…。

腐人自身は実際の犯罪本が好きなので、
そっちで情報収集してるとこあるんだが、
なるほどこういう本を読まれてるのか。

ま、種本を読んだからといって、
誰でもかけるもんではなく、
実際、今BL書いてはる方で、
刑務所をちゃんと書けるんは、
木原さん以外なら、
英田サキさんと花郎藤子さんぐらいでしょうな
とは思いますが。

そう、吸い取った知識をいかに吐き出すか、
これができてない人がね…
多かったりするんだよね…(-_-;)


ちなみに、喜多川が富ジィをムショに戻らせたくない
っつってましたが、
実際んとこは、こういう出たり入ったりをされた方は
出ても仕事も年金もなく、生活保護をうけるか、
刑務所にいたほうが衣食住の保証があると
犯罪を繰り返すことの方が多い。

そして今、高齢化と介護問題は、
刑務所の中まで影響してきており、
懲役の介護をどうするべきか、
けっこう深刻な問題になっている。

なんか最後は、
本書に関係してんだかしてないんだかな話になっちゃったが
こういう本から、
いろんな問題について、現実はどうなんだろうと
関心もってもらえっと、嬉しいなぁ。

喜多川みててもわかるけど、
無関心は、人を育てないからね。


では、最後にカウント。
(805)一般本 『箱の中』+BL/ホリー 『箱の中』『檻の外』『すすきのはら』 木原音瀬

以下、読書録。

●14日
(806)一般本 『おやじダイエット部の奇跡 「糖質制限」で平均22kg減を叩き出した中年男たちの物語』 桐山秀樹
  これはまた後日。
[ 2012/09/15 ] 腹黒読書 | TB(-) | CM(-)

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